「ありがとう」言えてますか?

さまざまな場面で使うことが多い「ありがとう」という言葉。感謝の気持ちを伝える言葉ということは、ご存知だと思いますが、いつしかその言葉を使わなくなります。感謝の気持ちは持っているのに、その気持ちを言葉にして伝えないことで、誤解を生むこともあります。今回は「ありがとう」という言葉について考えてみようと思います。

ありがとうという言葉の意味

「ありがとう」とは、人に何かをしてもらった時に感謝を表す言葉のひとつ。日常はもちろんビジネスの場など多くの場面で使われます。ところで、「ありがとう」という言葉のルーツは、どういうものなのでしょうか。現在はあまり使わなくなった漢字にしてみるとそのルーツがつかめます。

漢字で書くと「有難う」となりますが、ルーツは、「有り難し」の連用形「有り難く」の「く」が変形したものといわれています。本来の意味は、「有り難し」の「有り」が「あること」、「難し」が「なかなかないこと」を意味しているので、「なかなかないこと」「珍しくて貴重」となります。

それがいつしか「有難う」は、感謝の言葉になり、現在ではひらがなで「ありがとう」となるなど、本来の意味とは違う形で使われています。なぜ、使われるようになったのかは定かではありませんが、ものをもらった時に「有り難く頂戴します」と頭を下げながら使われているので、その様子を見たままに使っているのかもしれません。

ちなみに、同じように本来の意味と違う形で使われているものに「さようなら」があります。もともとは、「左様ならば(そういうことならば)」という別れ際の言葉だったものが、「ば」が取られて使われるようになったというものです。

言わなければ伝わらない

ありがとうという言葉は、身近な存在になればなるほど口にすること少なくなる傾向にあります。理由は、してもらうことに慣れてしまい感謝の気持ちを忘れてしまったこととあらためて言わなくてもわかるだろうといういまさら恥ずかしいという気持ちからです。

今回の話は後者の話で、恥ずかしくても感謝の気持ちを言葉にして伝えないと、相手に感謝の気持ちが伝わることはないということです。言葉といっても、口に出すだけではありません。どうしても恥ずかしいのなら、手紙を書いたり、何かのついでに一言メッセージを添えたりしてもいいでしょう。大事なのは、あなたの言葉で、感謝したい相手に伝えることです。

「酌む」とは

日本人特有ともいえる「酌む」という文化があることから言葉で伝えなくても察することが美徳という文化があります。しかし、「酌む」ことができるのは、ある程度時間をともにした、考えを理解できている間柄ならあり得ますが、そこまでの関係ではない場合は成り立ちません。

昭和の職人気質の方は、「察しろ」「酌め」ということで、言葉をかけることはなく、周りが何年もかけてその方の言動を理解し、やっと酌めるようになります。前述の話もこれと一緒で、ある程度の時間を経なければ感謝の気持ちを理解することは難しいでしょう。

言葉にすれば感謝の気持ちが間違いなく伝わる

あれやこれやという必要はなくて「ありがとう」と伝えるだけで十分です。特に身近な方への感謝の言葉を発しているかはよく思い出してください。意外と言えていないことが多いのでそんな時は、自分の言葉で一言伝えましょう。